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2016/08/27

27-「御用」の役割すら回ってこない日本の経済学者 

27-「御用」の役割すら回ってこない日本の経済学者       (2016-08.27.)

「日本の経済学界の意見が安倍晋三政権で反映されていない」と嘆くような報道があった。そもそも日本の経済学界はこれまでの政策決定でどのような役割を果たしてきたのか。

筆者のように元官僚で、政策担当の経験がある者からみれば、経済政策を策定、実行するうえで経済学者の助言はあまり意味がない。というのは、経済政策の基本となる経済原理については、すでにわかっているものばかりで、新しい考えは不要だからだ。

経済政策で重要なのは、実施に向けての実務的な案と政治プロセスだ。このため、経済学者は、役所の意見をサポートする世論対策に使うのが基本である。要するに御用学者である。
もっとも、経済学者の機嫌を損ねてはいけないので、政府の審議会に入れて、そこで経済政策を作った形をとることで顔を立てることが多い。そのため、各省庁では担当分野での学者との交流にはかなり力を入れている。

省庁の審議会や研究会に入ってもらい、国内外の調査出張の際に人間関係を作るほか、委託研究という形で予算をバラ撒いたり、時によっては有力学者のゼミ生の就職斡旋もする。

特に財務省では「先物買い」といって、若手学者にもかなり接触を図る。その中から、有力学者が育っていき、立派な御用学者になるというわけだ。従来の日本の経済学者の大半は財務省のシナリオどおりに、消費増税は2014年4月と15年10月からの2回必要だという意見だった。そして消費増税によっても経済は悪くならないという予測もしていた。

安倍政権は14年4月の消費増税ではこうした意見を取り入れた。しかし、その見通しはまったく外れて景気が悪化した。そこで、15年10月からの再増税を17年4月からに延期した。しかし、景気は芳しくなく、増税を19年10月からに再延期した。

2回目の延期の際には、ノーベル経済学賞受賞のポール・クルーグマン氏ら海外の学者の意見を聞き、日本の学者の意見はほとんど聞かなかった。従来の政策決定は財務省シナリオに沿ったものだったが、安倍政権では官邸で意思決定するようになった。

日本の経済学者も、経済予測がまともで、当てることができるなら、政治家はもっと信用するだろう。的確な経済予測に基づく政策提言なら政治家も受け入れる。自分たちの意見が政権に受け入れられないと嘆くより、経済予測を誤ったことを反省すべきだ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
(えびなたろう)

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