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2016/07/28

28-経済対策「真水3兆円」は物足りない

28-経済対策「真水3兆円」は物足りない         (2016-07.28.)

政府が経済対策の規模を当初の10兆円超から20兆円超に増やす方針で、8月にも閣議決定すると相次いで報じられた。経済対策をみるには、公的資金の出所で分ける必要があり、一般会計予算と特別会計予算(財政投融資)が基本となる。予算執行側(諸官庁)からみれば、一般会計は元利ともに返済義務がないので無償資金、特別会計予算は元利の返済義務があるので有償資金と言う。

前者の一般会計予算は、しばしば「真水」といわれ、国内総生産(GDP)の押し上げ効果に関係するからだ。例えば一般会計での公共事業では、予算額の2割程度である用地取得費を差し引いた金額が政府投資となってGDPを押し上げると計算される。
一方、後者の特別会計予算では、予算額にしばしば事業規模が使われ,真水との関係では、特別会計を原資とする政府金融機関の融資額は真水とはいわない。直接GDPを押し上げないとされているからだ。

経済対策の規模を表す場合、前者の一般会計予算額と特別会計事業規模を合算して表すことが多い。細かくいえば、一般会計と特別会計から資金を受ける政府関係機関予算での事業規模も加味される場合もある。経済対策の事業規模に融資額が多く含まれている場合には、事業規模は大きくなるが、計算上のGDP押し上げ効果はさほど大きくならない。もっとも、その公的な融資がなければ、企業倒産が相次いで、結果としてGDPを下げることもあるので、実際のGDPへの貢献はその時々の経済状況に依存する。

今回の経済対策は、報道によれば、国・地方の一般会計・特別会計による財政措置が9兆円、政府関係金融機関が財政投融資に頼らず手掛ける融資などが5兆円、国からの補助金などに合わせて民間企業が資金を負担する分が6兆円となる見込みだ。財政措置9兆円のうち真水は3兆円程度といわれている。この点から、今回の景気対策は真水が少ないという批判が出ている。3兆円だけだと確かに少ない。いまGDPギャップ(潜在GDPと実際のGDPの差)は10兆円ほどあるので、せめて真水10兆円程度は欲しい。

もっとも、今の金利環境を生かし、財政投融資のうち投資を中心にすると、特別会計の有償資金部分を限りなく「真水」に近づけることもできる。特別会計部分が有償資金とされるのは、元利返済があるからだ。学者なら、永久債を発行し、中央銀行が購入すると、有償資金は真水化すると指摘するだろう。

バーナンキ前米連邦準備制度理事会(FRB)議長流の「ヘリコプター・マネー」を筆者が解釈すれば、財投債を永久債で発行して日銀が買い入れる-となる。実際には制度の壁があってできないとしても、50年超長期財投債発行と日銀買入で、金利負担はゼロに近く、元本返済負担も少なく、永久債とほぼ同じ効果である。その資金を政府投資に回せば、これはほぼ真水の政府投資である。
「21世紀型のインフラ整備」に8兆円らしいので、うまく財投債の設計を工夫すれば、真水化できる。となると、真水10兆円程度は達成できるだろう。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
(えびなたろう)

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